社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院(所在地:長野県松本市、院長:相澤克之)は、日常生活の中で心電図を記録できるApple Watchの特性を活かし、そのデータを診療に活用する「Apple Watchを用いた心電図検査」を、2025年7月14日より開始しました。
これまでApple Watchをすでに所有している方を対象とする患者さん主体の取り組みが一般的な中、当院では病院から端末を貸与することで、端末をお持ちでない方でも検査を受けられる体制が特徴です。また、患者さん任せにならないよう、記録データは院内の専用端末と連動しており、当院が一元的に確認・管理します。
心電図検査の対象となる不整脈や心房細動は、心筋梗塞や脳卒中の大きなリスク因子とされており、早期発見が極めて重要です。しかし、これらの症状が一時的であることが多く、検査のタイミングによっては検出が難しい場合があります。今回の取り組みでは、患者さんにApple Watchを1~2週間貸与し、「心電図アプリ」および「心房細動履歴アプリ」を利用して、日常生活の中で記録した心電図データを、症状のタイミングや経過を可視化する補助データとして活用します。これにより、従来の検査と比べ、自然な状態で長期間の記録が可能です。
今後は、Apple Watchをはじめとしたウェアラブルデバイスを活用した検査の運用範囲を拡大し、入院中のモニタリングや健診へ展開していく予定です。相澤病院はこれからも、医療DXの推進と先進技術の導入を通じて、医療サービスの質向上を図ります。
※Apple Watchは家庭用医療機器であり、従来のホルター心電計や12誘導心電計等とは異なります。医師による診察を前提とした、心房細動の早期検出や履歴管理の補助として使用することを目的としています。
Apple Watch心電図検査 導入概要
導入開始日:2025年7月14日(月)
心電図アプリ
対象:不整脈が疑われる患者さん
患者さんが動悸などの自覚症状を感じた際に、Apple Watchに触れて心電図を記録。異常のタイミングを逃さず捉えることで、医師による適切な追加検査や治療判断の一助となる。
心房細動アプリ
対象:既に心房細動の診断・治療を受けた患者さん
心拍リズムを継続的に記録し、治療効果の評価や再発リスクの把握に活用。今後の治療方針の判断材料にもなる。
担当医師のコメント
心房細動は脳梗塞を発症する主要な原因疾患の1つです。早期に診断・治療することで脳梗塞のリスクを軽減することが可能です。しかし、早期の心房細動の診断は難しく、治療に至る前に脳梗塞を発症してしまうことがあります。心房細動を生じているときでないと診断がつかず、短時間の発作では、心電図で不整脈を捉えるのが難しいためです。
当院ではこの度、診断の精度向上などを目的に長時間の装着が可能なApple Watchを活用することにしました。「Apple Watchを活用した心電図検査」で、心房細動を早期に発見し、脳梗塞を予防することで、地域の皆さまの健康寿命延伸に貢献できるように取り組んでいきます。
相澤病院 循環器内科 統括医長 竹内崇博
(日本循環器学会循環器専門医)